牛舎に勝手にすみ着く猫、夜は「パトロール」も – 読売新聞

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 宮崎県内でも特に畜産が盛んな都城市や西諸地区を担当していて、気になることがあった。

 取材で牛舎を訪ねると、なぜか、よく猫を見かける。インターネットで「牛舎 猫」と入力して検索してみると、猫が牛と仲良さそうにしている様子や、ワラの上でくつろぐ画像が大量にある。牛と猫の関係を確かめに、改めて牛舎に向かった。

 うだるような暑さの中、都城市高崎町で和牛270頭を飼育する増田宏さん(50)を訪ねた。牛舎近くの倉庫に入ると、2匹の猫がいた。寝そべったり、水を飲んだり。作業をする増田さんや、飼料の運搬車も近くを行き来するが、全く気にする様子はない。

 「今日は少ない方。普段は5、6匹かな」。猫の集団が姿を見せるようになったのは5年ほど前。飼っている意識はなく、名前も付けていない。「猫も飼われているつもりはないでしょうね」

 増田さんは、猫が来るようになって牛舎の異変に気付いた。まず、飼料のトウモロコシなどを狙うネズミやハトが減ったという。これらは様々な病原菌を媒介するやっかいな存在だ。

 ネズミが牛舎に入り込むのを阻止したり、捕まえたりしているのが猫。「昼間は寝てばかりだけど、夜は牛舎を『パトロール』している姿をよく見る。頼もしいですよ」と話す。

          ◇

 9月に仙台市で開かれる「全国和牛能力共進会」に、県代表牛を出場させる小林秀峰高(小林市)。牛舎がある同高の高原農場(高原町)にも足を運び、猫について聞いてみた。

 ここでは6月まで、ネズミよけのために猫を飼っていたという。元々は校舎に迷い込んだ野良猫だったが、牛を飼育する部活動の「農業クラブ」が引き取った。黒い猫だったので「アンコ」と名付けた。

 アンコはネズミを口にくわえていることが度々あった。猫アレルギーの部員がいるため、現在は別の部員の家で飼われているが、指導する東房男教諭(59)は「猫が1匹いると、ネズミはほとんど寄って来ない。猫がいるのと、いないのでは、全く違う」と実力を認める。

 猫が牛舎に居つく理由は――。疑問を抱えつつ、都城市蓑原町で和牛110頭を育てる久留雅博さん(52)を訪ねた。

 牛舎には、4、5匹の猫がたむろしていた。やはり、牛や作業員を気にする様子もなく、くつろいでいるように見えた。

 10年ほど前に1匹のメスがすみ着き、次々に増えたという。時々、餌を与えるが、なでようとすると、逃げていく。「飼料用のワラもあるし、特に冬場は過ごしやすいんでしょう」と久留さん。猫を遠目に見ながら語った。

 野良猫の生態を研究している西南学院大の山根明弘准教授(動物生態学)に聞いてみた。ヨーロッパの酪農地域では、ネズミの害を防ぐため、昔から猫が飼われているという。「牛や馬はおとなしく、猫とは互いに干渉しない」と話す。

 猫にとって牛舎はすみよいのだろうか。

 山根准教授は「自由気ままに動き回ることができるうえ、積んであるワラは、すみかや子育ての場になる。牛舎は理想的な住環境といえるのでは」。猫と牛、生産者。互いにメリットがあって、牛舎に猫が多いのだと納得した。(小園雅寛)



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