学ぶ夢応援の輪、生活困窮の子へ無料教室…大学生や元教員力に – 読売新聞

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 経済的に困っている家庭の子どもたちに大学生や教員OBらが無料で勉強を教える学習支援事業が成果を上げている。2015年に始まった生活困窮者自立支援制度によって自治体が任意で行う施策で、「貧困の連鎖」を断ち切ることを目的にしている。支援を受けた生徒の高校進学率が上がる一方、ボランティア講師の確保や財源の問題から二の足を踏む自治体もあり、地域間格差の懸念も生じている。

 福岡市内の公共施設で開かれている学習支援の教室。平日の夕方、学校帰りの中学生が続々と集まった。

 「英単語の復習から始めようか」「今日は数学の方程式の解き方を学ぼう」。スタッフの大学生が生徒1~2人を相手に勉強を教えていた。生徒の手が止まると、「どこがわからなかった?」とすかさず声をかける。数学の文章問題につまずいていた女子生徒は、アドバイスをもらって正解を導き出すことができた。

 福岡市は、学習支援事業が始まった15年の夏からNPOなどに教室の運営を委託。学生ら支援スタッフが2か所で週2回、生活保護世帯や生活困窮家庭の中学2、3年生に英語と数学を教えている。学校の宿題のほかに、市販のドリルも用意し、受験を見据えた指導を行う。

 複数のNPOが運営を担っており、そのうちの一つで代表理事を務める草場勇一さん(47)は「教室は単に勉強を教えるだけでなく、夢を持つことの大切さを知り、直面する課題を解決する場所でもある」と話す。

 経済的な理由から大学進学をあきらめ、実業系の高校を志望していた男子生徒がいた。スタッフが希望する仕事に就くための進路や奨学金についてアドバイス。目標に向かって勉強を頑張った生徒は今春、私立高校の授業料などが免除される特進コースに進学することができた。

 何げない会話から「食事を満足に取れていない」といった生活面の悩みがないかにも気を配り、必要に応じて、学校や支援機関とも連携している。福岡市では15、16年度のいずれも教室に通った生徒の高校進学率は100%。熊本市内の教室でも、15、16年度の中学3年生約20人全員が高校に進学するなど効果を上げている。福岡県大木町では、小学生の時から通い続ける中学生が複数おり、学習習慣の定着がみられるという。

 読売新聞が九州・山口・沖縄の各県に取材したところ、8月現在、全市町村の約半数にあたる148市町村が支援事業を行っている。制度の開始前からモデル事業などに取り組んでいた熊本県は全45市町村、福岡県は13市14町、鹿児島県は8市18町4村で、最も少ない佐賀県は2市となっている。

 課題は、講師を務める支援スタッフを確保し、手助けを必要とする全ての子どもを受け入れる体制づくりだ。

 15年6月から始めている宮崎県日向市。支援員4人が中学生4人に数学や英語などを教えている。市の施設に来てもらう「集合型」と支援員が自宅に出向く「訪問型」を用意しているが、距離によっては親による送迎が難しく、遠い学校区に行ける支援員も限られているという。

 福岡県は「支援教室を開きたいがボランティアが足りない」などの声が寄せられることから、ボランティアで勉強を教える大学生や教員OB、地域住民らを候補として登録し、ニーズに応じて市町村に紹介する「人材バンク」を新たに設置。現在の約900人に加え新たに500人の登録を目指している。6月から募集を始め、7月末までに106人が登録した。

 山口県も人材確保に頭を悩ませる。県厚政課の担当者は「県内に大学が少ないため、学生ボランティアが集まりにくく、特に郡部が厳しい」としている。同県は昨年度から、退職した教員らの会に呼びかけるなどして、学習支援員の募集を行っている。

 全国の自治体に学習支援事業の実施調査を行った埼玉県のNPO法人・さいたまユースサポートネットによると、福祉事務所を置く755自治体のうち55・9%にあたる422自治体がすでに実施か今年度実施予定だという。一方、実施自治体に課題を訪ねたところ「学習支援ボランティアの確保・増員」が41・4%で最も多く、「対象となる子どもが集まらない」が33・1%で続いた。実施していない自治体の理由でも「人員や団体の確保」を挙げる回答が最も多かった。

 さいたまユースサポートネットの青砥恭代表理事は「複数の自治体で同一の会場を設け、送り迎えをするなど地域の実情に応じた教室の運営方法を模索すべきだ」と指摘している。

 関西国際大・道中隆教授(社会保障論)の話「行政が法律に基づいて取り組むことで、継続した質の高い学習支援を行うことができる。財源の問題で支援員や開催場所が確保できない自治体もあるが、課題を克服するには、今ある人材や施設といった社会資源を最大限有効に活用するしか、打開策はない。支援員を行政が育てていくことも大事で、官民が連携して『貧困の連鎖』を断ち切らなければならない」

 生活困窮者自立支援制度 病気や失業などで生活に困っている人や生活保護を受ける手前の人を支えるために2015年4月から始まった。生活困窮者自立支援法に基づき、「就労準備」「一時的な衣食住の提供」「家計相談」といった支援事業がある。学習支援の実施主体は、福祉事務所を設置する自治体、他は都道府県となる。国が事業費の一部を負担するものの実施は各自治体の判断に任されている。生活保護世帯の子どもの高校進学率は90.8%(2013年)で全体より7.8ポイント低かったが、16年は93.3%となり、全体との差は5.6ポイントに縮まった。



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